2015年3月23日月曜日

植田志保さんインタビュー 〜色のすること作品展によせて〜


植田志保さんインタビュー

 in 写真集食堂 めぐたま




色の魔法使い
植田志保さんに訊く!


色の温度を感じ、
色を肌から紡ぎ出すように
様々な水彩画や空間を創り出している
植田志保さん。
作品の成り立ちや普段感じられていることなどを
伺ってみました。


ーーーどんなことを想い浮べながら作品と向き合っているのでしょう?

植田志保(以下:植田):おいしい、という言葉も抽象的なものだと思うのですが、
その中にもいろいろなおいしいがあるように
周りにあふれるものやことの色にもそういった抽象的な部分があると思うんですね。
その色と色の間にある中間色のふくらみのようなところに触れたい、
ひとつひとつを触っていきたいと思いながら
作品を創っています。

ーーーいつごろから絵を描くようになったのでしょう??

植田:物心ついたときには絵が好きでした。
一番覚えているのは小学生のときで水彩画を描いているときでしょうか。
水が好きというのもあり、水の気持ちになって描いていました。
実は今も使っているパレットは
そのころから使っているものなのです。
とっても相性が良いというか。魔法を紡ぎ出せるアイテムというか。
密かに魔法のパレットと呼んでいます。

ーーー素敵ですね! 本当に魔法使いのように色が指から出てきそうですよね。

植田:絵を描くというよりは「色」を肌から出していくという感覚に近いのです。
湧いて出てくるような

ーーー志保さんの手の先からふわっと色が出てきそうですね。

植田:色は魔法のようなものではないですか。
かけられた! って気持ちにさせてくれますよね。
それで私が表現しているものは抽象画というのでしょうか。
常に言い表せないものを色で表現しているのだと思います。
それで、描いているときどうやって描いたのか? ということを覚えていないというか
無意識に出てくるような感覚があります。

ーーー何かに動かされているような。宇宙からの信号をキャッチしたような感覚とでもいいましょうか。

植田:そうですね自分というものがないというか。
自分自身が表現しているというよりは
目撃したものをそのまま置いてく、、という感じに近いのです。

ーーー受け取って、それを表現していくような。
例えばそれが人によっては文学だったり、音楽だったりするのでしょうね。

植田:そうですね。
常にこの世界にうっとりさせてもらっているから
そのうっとりしたことをお伝えする係だと思っています。
ありがとうって気持ちで。

ーーーうっとりというのはとってもよい表現ですね。そういう思いで描かれているから
志保さんの周りには素敵な色が集まってくるような気がしますね。
なにか自分にとって特別な色というか好きな色というものはありますか?

植田:実家が山奥でして、その育ってきた環境で感じていた
色が一番落ち着きます。
色というよりはそのものが発する温度というか
そういう捉え方をするので、
好きというか、落ち着くというか。
好きな色を思うと、自分が育った場所を思い浮かべるのだと思います。
色味的にはそこに着地したがりますね。

ーーーいいですね。志保さんの作品は文学からしたら
まるでポエムのようですね。
緻密に描く方は小説を書くような感覚なのでしょうかね。

植田:なるほど。ポエムというのはとってもわかります。
あとはお手紙というか。
毎月、大阪にあるSucugnizzoというピッツァ屋さんにサポートをしていただいて「お手紙」を発行しているのですが、
季節を背負った色の絵を描かせてもらっています。
SKKYさんというデザイナーさんと一緒に創らせていただいていて。
どこかの誰かに届くといいな、という想いはいつもありますね。

ーーーお話を聞いていて、生みの苦しみというものを感じることなく
自然と湧いて出てきたものを表現しているイメージもあるのですが、
そのあたりはいかがでしょうか。

植田:確かにそういうところはあると思いますが、
制作しようとする気持ちにたどり着くまでが大変なときもあります。
何を苦しみというのかというところになってきますが、わたしの場合は自意識みたいなことは、越えたものを世にひとつずつお返したいとは思っています。
周りのものを吸収して紡ぎ出すそうですね、元気玉のように周りの気、色を吸収しては紡ぎ出しているイメージが近いかもしれません。

——なるほど! 元気玉という表現はとってもしっくりきますね。
それでは、今回の3/28〜の作品展ではどんなことをテーマに紡ぎ出されるのでしょう?

植田:case galleryのそばにあるパンジーから吸収した春の色の熱量を
お届けできればと思っております。
あとは布を使って、というよりは布と向き合って、
色と空間を紡ぐようなイメージの作品作りをしているところです。

——今後やっていきたいことなどもあれば教えてください。

植田:本や映像も興味がありますが、
一つ一つ、イメージするものを束ねていきたいです。
断片的なものを束ねて一つにしたい。
束ねるということに向かっての制作を行っていきたいです。
例えば花束みたいなものを創って
人にプレゼントできたらと思います。

私の名前が志保と書くのですが、
志は贈りものという意味もあるらしく、
それを保っていく。
名は体を表すというように、
贈り続ける人としての役目を果たして
生きていけたら最高ですね。

ーーーとっても素敵ですね!
これからも私たちに魔法の世界を見せてくださいね。
今日はありがとうございました!


(写真と文:かとうまさこ)


▪️Profile



植田 志保
Shiho UEDA

美術作家
1985年 兵庫県生まれ。
「色のすること」と冠した抽象的表現を、言葉や絵に置き換え、平面のみにとらわれない表現を発表してきた。
その活動は国内のみにとどまらず、海外にも発展している。
意識の輪郭は 色を標す 魔法へ。
主な活動に、
KARIMOKU NEW STANDARD/ミラノサローネ出展に際しイメージ画提供
Depot Basel:MUSTERZIMMER 11 /チューリッヒ
ROKKO MEET ART「芸術散歩2010」/柳原照弘氏とコラボレーション参加
アパレルブランド[furfur] 2013 s/s collection  Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO/アートワーク担当
風の伝言プロジェクト(国立病院機構 四国こどもとおとなの医療センター)/作品提供
雑誌  coyote(スイッチ・パブリッシング社))SPECIAL ISSUE 2013/イラストレーション提供
広告 なんばcity 2014 春 メインビジュアル/  アートワーク担当
草月流  季刊「草月」江國香織さん連載 /挿画の担当
個展 ・色のすること @森岡書店
アートイベント・「heART 2014」@InterCotinentalOsaka   他 個展及びグループ展、多数。


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